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沈む心に寄り添う「sadd」

沈む心に寄り添う「sadd」

2026.06.07

前書き

世界が味気なくなる感じる瞬間は、誰もが経験したことがある思います。

そして、その瞬間は、大きな失敗による心労や日々蓄積されていった疲労が心の限界を突破したときに訪れるのでしょう。

精神の落ち込みは認知を歪めます。 そして、人は認知が元通りになるまで、世界を不幸として捉えてしまいます。

「どうしてこんなにも自分は不幸なのか?」、「どうしてこんなにも世界は壊れているのか?」等々、解消できない堂々巡りの思考がもたらされ、あらゆる楽しい事柄や関係が没落してしまうのです。

そして、この不幸な循環から抜け出すためには、哀願に似た忍耐と苦難の時間を過ごさなければなりません。

ただ、精神の落ち込みから立ち直るときに耐え難い孤独を感じていたとしても、そのひとに寄り添ってくれるものがあります。

孤独を感じようとも、寂寞を覚えようとも、「音」と「言葉」だけは、心を支えて微かな安らぎを与えてくれるのです。

今回はそんな沈む心に寄り添う「sadd」を紹介させていただきます!

https://youtu.be/FgAIdJx_nfI?si=HxYGpJDG1qlwyy0H

沈む心に寄り添う「sadd」

「sadd」は90年代のエモの香りを色濃く感じさせてくれるバンドです。 その音楽は、静かで深みのある響きと、静と動の瞬間的転換によって解き放たれる衝動性に満ちていて快いです。 バンドサウンドのダイナミズムを直接感じさせてくれます。

そして、素晴らしき音の連関は灰色に彩られています。

ただ、それは錆び枯れた世界に満ちる絶望的な色彩ではありません。

希望があると信じられる世界の灰色です。 人の心を徹底的に陰鬱にする色ではありません。 安らぎと安寧の光を宿し、痛んだ心を支えてくれる希望的な色彩です。

だからこそ音楽的情景として灰色の世界(1月の曇った空、その下に横たわる静かすぎる街の様な景色)が浮かび上がって、そこに微かな絶望を感じても、打ちひしがれはしないのです。

「sadd」の音楽は、うだつの上がらない生活とそれを強いられている人々の心苦しさを語りながら、彼らが末人(この世全ての事柄を無意味と結び付けて何もできなくなってしまった人間)ではないことを激情とともに肯定し、無意味に思えてしまう生活に寄り添ってくれるのです。

おすすめ曲

Gentouki

抒情的なアルペジオに加えて、昂る感情の塊の如き激しい演奏が味わえる「sadd」の良さが詰め込まれた1曲です。

曲の前半では、静かな冬風と縮こまる灰色の街を表現するようなロマンチックな音が奏でられます。 曲中盤ではギターが一層静かに美しい響きをもたらします。 そして、曲の終わりにかけてバンドサウンドが混じり合って轟音として沸き立っていきます。

とてつもなくドラマチックな曲展開です。

そして、この静と動が結びついた曲展開によって、「Gentouki」は現在と過去の乖離に基づく寂しさをドラマ的かつ実直に描き出しています。

仕事終わり、厳冬に震えながらアパートの暗い一室に入る。 冬風は絡め取った白雪を薄いガラス窓にたたきつける。 暖房の利いた部屋にいるのにもかかわらず体は落ち着かない。 疲労と寂しさに心は打ち震え、苛立ちが募っていく。 苦労の割に合わない現実が心と認知を歪める。 けれども、明日に向けて人は生きていく。 幻燈の様にぼんやりと暖かないつかの記憶を拠り所として。

この曲はそうした寂しいノスタルジアと、明日を生きようと試みる人を支える温もりを与えてくれます。

https://youtu.be/NGZjQPgNnMY?si=dFFFcstPOtSGCgAW

Shape

カーブミラーの破片に反射する街灯の様なきらきらとしたギターと、柔らかなベースとドラムスが奏でられ、怒りとも苛立ちとも感じられる感情が終盤で激しいバンドサウンドとして爆発する楽曲です。

とてつもないダイナミズムを感じられる曲展開と、歌唱と演奏に込められた哀愁と激情の背反とは、曇り空と内省の感覚を抱かせてくれます。

過ぎ去っていく時間と肉体の連関の寂しさと侘びしさを感じさせてくれるのです。

永遠に続くと思っていた青春は、否応もなく現実の中で溶けてしまう。 馬鹿をやっても許される時間は消え去り、いつの間にか社会に組み込まれていた。 いつからか夢見ていた景色は合理的な理屈と妥協に従って手放した。 そんな理屈を練り上げた自らが醜くて、なりたくなかった大人の様に見えてしまって、心はねじれ痛んでしまう。

それでも、あのときに望んだ人間に自分は成ったと言い聞かせる。 もう、子供のときに拾ったカーブミラーの破片はガラクタでしかないのに。

「Shape」はそうした「過去と現実」、「理想と事実」の折り合いを付けなければならない哀愁を感じさせる抒情的な曲です。

https://youtu.be/FteJle0gF2I?si=8qouUoBbNsKHwCA7

道先案内

静的な歌詞とダイナミズムに富んだ演奏が特徴的な「sadd」の音楽は、どうしようもなく辛い現実に生きるすべての人々を支えてくれます。

それは現実を直視する痛みを含みながらも、負けないための希望という優しさに富んでいます。だからこそ、その音は激しくとも心に寄り添ってくれるのです。

また「sadd」の楽曲はメロディが美しく、曲展開も起伏が明瞭で聴いていて快いです。 エモが好きな人も、そうでない人も、誰もが好きになれる音楽性を「sadd」は持っています。

本当に良い曲ばかりなので、ぜひ聴いてみてください。

https://www.youtube.com/@sadd-jp

https://open.spotify.com/intl-ja/artist/1wiP4izOvuacV6WqYhfW72?si=U-WidkmVTW6z9ERe2SdCNg

https://lit.link/sadd

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